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10月27日「マンション管理組合、マンション住民のためのKSKセミナー」レポート

2018/11/05

 マンション管理組合の運営不全やマンション大規模修繕工事が社会問題化している中、KSK主催の「マンション管理組合、マンション住民のためのKSKセミナー」を10月27日に開催しました。
 昨年は、神戸市中央マンション交流会が主催で国土交通省からも通達された「不正コンサルタント」の問題を大々的に扱ったものでしたが、本セミナーにおいては、管理組合自身の問題に石を投げ、「もう逃げたらあかん!マンション管理組合運営の主役は皆さんです!」と管理組合の自立を問う内容となっています。



KSK 草刈保廣理事長


参議院議員 杉ひさたけ氏



 当日は、10時からは無料相談会を実施し、10組を超える管理組合の方が来場いただき、KSKの専門家やマンション管理士が対応させていただきました。
 13時からのセミナーは第一部として、基調講演(Ⅰ)として、国交省近畿地方整備局建政部住宅整備課長の西村紘明氏より『最近のマンション政策について』と題し、マンション管理の基礎知識、全国のマンションの現状と政策的な位置づけをお話いただき、平成28年標準規約の改正や住宅宿泊事業法への対応(いわゆる民泊)など最新の動きから、マンションの修繕や建替に関わる政策についての説明をいただきました。



国交省近畿地方整備局 西村紘明氏


弁護士 戎正晴氏



 そして、基調講演(Ⅱ)では、弁護士・明治学院大学客員教授であり国のマンション政策の諮問委員にも席を並べる戎正晴氏から『区分所有者から見た工事発注の適正化』をテーマに、「マンション標準管理規約」の平成28年改正の真意を管理組合の役割を「財産管理団体」として明確にするものとし、マンション大規模修繕工事の成否が管理組合の運営の中でも非常に重要なものであることを解説いただきました。しかし、マンション大規模修繕工事において、発注者である管理組合と受注者である設計コンサルタントや施工会社、管理会社との間に「情報の非対称性」やそもそもの管理組合のコスト意識の欠如の問題も指摘され、それらを解決するためにKSKが推奨する「プロポーザル方式」で大規模修繕工事を取り組むことが、管理組合運営に関して、主体性やコスト意識を芽生えさせるのに「啓蒙」的なものに成りえるのではないのかという考えを展開されました。


 次に、『管理組合が主役で進める大規模修繕工事』という演題で、東急ドエル・アルス西宮山手管理組合 修繕委員長 三鍋誠氏が、実際に自マンションで取り組む「プロポーザル方式」の大規模修繕工事について、経緯をお話しいただき、管理組合内での「主役は自分たちである」という意識の変化や修繕積立金をある程度残すことが出来る大規模修繕工事を実践され、現在進行中である「プロポーザル方式」の可能性の大きさについて報告いただきました。



東急ドエル・アルス西宮山手管理組合 三鍋誠氏


セミナー会場風景



 第二部では、管理組合の代表として宮前行男氏(神戸市中央マンション交流会)、尾西文一氏(いずみマンション交流会)を迎え、KSKからは小野利行氏(技術部長)、弁護士の戎正晴氏をパネラーとしてパネルディスカッションを行いました。パネルディスカッションでは、管理組合側からは管理組合が組合運営を管理会社、大規模修繕工事ではコンサルタントに仕事を丸投げしてしまっている現状、そして大規模修繕工事を丸投げしまったことにより大きな負債を抱え込むことになった事例を紹介、KSKからは多くの大規模修繕工事がとっている公示方式である「設計監理方式」、「責任施工方式」が工事の専門家を主体として実施することを念頭としているので、管理組合が主体性を取りにくくなっている点があるなど、それぞれの立場から現在のマンション管理組合が抱える問題点を列挙し、次にそれぞれがその解決策を提示する形で進められました。解決策として、管理組合の立場の宮前氏は、理事会運営のスリム化、理事長選出の柔軟化、役員への報酬制、専門家の活用などをあげ、尾西氏からは、自マンションでの役員への報酬支給の実績、幅広い専門家の活用の事例、外部の専門家だけでなく自マンションでの経験者の発掘および運営への関与を依頼するなど自身の経験を紹介いただき、KSKの小野氏は、不要不急の工事を見分け大規模修繕工事のコストを適正なものにするために地元の施工業者を工事の専門家として活用できる「プロポーザル方式」が有効ということを示しました。戎弁護士としても管理組合の自主運営の啓蒙としての「プロポーザル方式」の期待が大きいということでパネルディスカッションは締め括られました。



小野氏、尾西氏、宮前氏、戎氏、平元氏(左から)


パネルディスカッション風景



 セミナーの終盤は、NPO法人全国マンション管理組合連合会(全管連)事務局長の野村善彦氏が特別ゲストとして登壇され、「マンションを買う」という日本の商習慣から自主性の認識の食い違いを起こしているとの見解を話され、マンション管理組合の自立の重要性を来場者に求められました。



全管連 野村善彦氏


神戸市中央マンション交流会 宮前行男氏



 本セミナーでは、来場者が199名となり盛況の内、幕を下ろすこととなりました。KSKでは、今後もこういったセミナーや無料相談会を実施し、マンション管理組合の自立を支援することを考えていきます。


【配布資料】
基調講演(Ⅰ)最近のマンション政策について(PDF)
修繕工事はプロポーザル(提案型)方式が最適!!(PDF)